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Heilpraktikerハイルプラクティカーとは

(資格に関してご興味のある方のみ、以下、詳しい説明をお読みください。)

 

概要

ドイツ連邦共和国における国家資格で、補完代替医療(CAM)分野に限定した医業免許。

ハイルプラクティカー法(Heilpraktikergesetz)に基づき、西洋医学分野における国家試験に合格することで

”Erlaubnis zur berufsmäßigen Ausübung der Heilkunde ohne ärztliche Bestallung”

「アルツト(大学出の医師)としての認定なくして、医学を職業として取り行う免許」が与えられる。

ドイツ大手出版社のドイツ語辞書※では

“Heilpraktiker j-d,der (beruflich) Kranke behandelt und dabei (im Gegensatz zum Arzt) meist nur natürliche Medizin  verwendet” 

「ハイルプラクティカーとは、職業として病人を治療し、その際にアルツトとは異なって大抵は自然医学のみを用いる者」、などと説明されている。

(※Langenscheidt Taschenwörterbuch Deutsch als Fremdsprache)

アルツトとハイルプラクティカー、ドイツでは、どちらも独立して医業を営むことが許されるが、

両者は厳格に区別され、各々に法による規定(義務・禁止事項・権利など)が設けられている。

 

 

職業名

“Heilpraktiker(ハイルプラクティカー)”という職業名は、“Heil”が「治療」、"Praktiker"は「開業医※」の意味として造語された。

(※ちなみに、“Praktiker”という言葉は、医療分野以外では一般に「実践家」などの意味で用いられる)

 

 

国家試験内容

資格を取得するためには、ドイツ語での、筆記試験・口頭試験の両方 に合格する必要がある。

試験内容は、主に西洋医学(解剖学・生理学・病理学)と、関係法規(ハイルプラクティカー法・感染症法など)で、

また口頭試験においては、更に鑑別診断、実技(注射・診察方法など)が問われる。

 

 

法的な権利

ハイルプラクティカーの資格を取得すると、法的に、医院開業、診察、診断、治療が許される。

診察では、一般西洋医学の診察法(血液採取・検査、尿検査、心電図、超音波検査機など)の使用も許され、

また、診察に従って独立して、西洋医学的な診断を公式にくだすことも許される。

ただし、ハイルプラクティカーに許される治療方法は、主に補完代替医療※(CAM:Complementary and Alternative Medicine)に分類される治療法である。

医院での治療には、一般的に、プライベート保険・追加保険が適用される。

※参照:ウィキペディア「代替医療」 

 

 

禁止事項

ハイルプラクティカーには、法的な権利が認められる一方で、禁止事項も法律で定められている。

主な例としては、レントゲンの使用、特定の感染症の治療、予防接種、麻酔薬の使用、処方箋の必要な薬の使用(※)、分娩・中絶手術、死亡証明書発行、

アルツト(一般医師)との協働病院経営、虫歯治療、去勢手術、人工授精、クローン作製、病原菌やウィルスの保管・研究など、が挙げられる。

また、禁止事項とは別に、法によって義務(各種届出、感染症の報告、医院の管理など)が定められている。

※救急時はアドレナリン・コルチゾンなどの使用が許される

日本語訳

日本・他国に無い、ドイツ独自の国家資格であるハイルプラクティカーの訳は難しく、ネット上などでも幾通りかの訳が試みられている。

(例:治療師、自然療法士など)

公の出版物での日本語訳としては、南江堂「独和医語辞典」での訳 ”無免許医師” があげられる。

しかし、これはハイルプラクティカー法 条文の中の「“ohne ärztliche Bestallung „アルツト(大学出の医師)としての免許無くして」 の部分が

ただの「免許無くして、無免許」と変わってしまった誤訳で、正しく意訳すると、「補完代替医師」が適切である。

問題点・課題

ドイツ連邦共和国内でも合格率が特に低いと言われる国家試験※に合格することと引き換えに

法的にかなりの権限が与えられているハイルプラクティカーではあるが、問題点も指摘される。

(※参考:ドイツSpiegel誌)

①筆記試験に関しては統一問題・統一基準が設けられているが、口頭試問には州・試験官などによって難易度が変動しうる。合格率は難しいと10%程、

 簡単だと30%くらいまであがると言われている。これによって、資格保持者の西洋医学的な知識・実力に幅がうまれてしまう。

②試験合格後、定期的な継続学習は職業倫理として義務化されているが、しかし、実際に継続学習が行われているか、具体的な点検・管理システムが法的に

 設けられていない。ハイルプラクティカーは、他の医療従事者と同様に、西洋医学的な知識・技能、そして専門とする補完代替医療的な治療に関して

 継続学習を行いレベル・スキルアップしていくべきだが、もし継続学習を怠ると、当然、試験合格時には理解できていた西洋医学的な知識もあやふやに

 なっていったり、医療従事者として信頼に足る実力・知識を維持できない、という危険性もでてくる。

③これは、ハイルプラクティカーに限らず、一般のアルツトや更には社会的な肩書・立場を抜きにして補完代替医療に携わる医療従事者すべてにつきまとう

 問題点・課題と思われるが、“個々人の選択している補完代替医療の治療方法が、本当に医学的に効果があるのか”、という審査・判断が、

 患者にとってはもちろんのこと、政府・行政などにとっても難しく実質的にほとんど管理がされていない、管理できていないことが、

 非常に大きな問題である。また、更には、同じ名前の治療方法であっても、個々人の取り組み方、習得具合に応じて、現実に発揮できる治療効果が大きく

 変わってしまうことも、より問題を難しくしている。

 ハイルプラクティカーという資格・職業は、少なくとも、ある一定以上の難易度の一般西洋医学に関する国家試験を設けることで、患者を医学的な危険に

 さらすことや、改善を妨げるような治療を行うことを避けようとしている。また、逆に、危機的状況の患者を一般救急に搬送したり、特定の感染症が

 疑われる患者を発見して役所に届け出たり、そのような社会的機能・義務を果たせるかどうかが、口頭試問では重視される。

 国民の健康を危険にさらさないか、そして、国民の健康をまもるためにドイツ医療の一部として機能できるか、それらを国が国家試験を通じて

 厳しく審査することで、ハイルプラクティカーには、それなりの権限が与えられている。

 しかし、くり返すが、この国家試験にも治療の実技・効果測定などは含まれておらず、そのため、ハイルプラクティカーの試験に合格して資格を得ても、

 それは「治療が出来るという証明」にはならない。この資格は、医業を営む上で必要な西洋医学的知識・能力がある事の証明にしかならないのである。

 と、問題点ばかりを指摘したが、ハイルプラクティカーの方たち(自分も含む)の名誉のためにも

 最後に少し、補足説明を加えさせていただく。たしかに、ハイルプラクティカーの国家試験内容に

 “治療”は含まれていないが、しかし、個々人の考え方や仕事に対するスタンスの違いなどはあれ

 ど、一般的にハイルプラクティカーたちは“補完代替医療分野における専門家”として各々の選択する

 治療方法の修得、診断・治療技術の研鑽などに努力を重ねて、患者の治療にあたっている。

 それらの努力がなければ、当然、治療効果もあげられないし、治療効果をあげるハイルプラクティ 

 カーたちも多く存在してきているからこそ、この資格・職業も存続してきているわけである。

 

 アメリカ・イギリスほど盛んではまだないが、日本でも医療費削減のための補完代替医療研究が

 進められている。その日本政府の調査においても「ドイツは世界で最も補完代替医療の普及が   

 進んでいる国」と報告されている。ハイルプラクティカーという資格・職業が既に70年以上も

 以前に制定され、人々から護られてきている事実が、“統合医療先進国”ドイツを象徴している。

 

 

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